日本唾液腺学会
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第61回日本唾液腺学会 総会並びに学術集会
 
会 長:村上 政隆 (自然科学研究機構 生理学研究所)
副会長:髙田 隆 (広島大学大学院 医歯薬保健学研究科)

平成28年12月3日(土)、文京学院大学本郷キャンパスにおいて、第61回総会並びに学術集会を開催しました。
 日本唾液腺学会は、平成28年に創立60周年という節目を迎えました。

次の時代に向けての第一歩ともいうべき今回の学術集会は、新たな試みとして、第4回ニールスステンセン記念国際唾液腺シンポジウムと連携して実施しました。

第4回ニールスステンセン記念国際唾液腺シンポジウムは、平成28年11月30日(水)~12月2日(金)、自然科学研究機構岡崎カンファレンスセンターで開催され、アメリカ、イギリス、イスラエル、イタリア、オーストラリア、韓国、スウェーデン、中国、デンマークの研究室から第一線で活躍する研究者十数名が参加しました。日本唾液腺学会からは、吉原俊雄理事長がメッセージを送るとともに、会員が多数出席して、口頭やポスターによる発表を行いました。3日間にわたって8つのセッションが行われ、基礎から臨床への応用、タンパク分泌、電解質と水分泌、形態形成、プリンレセプター、カルシウムホメオスタシスと分泌等をテーマとして有意義な議論が交わされたことが、第61回学術集会において、杉谷博士会員、柏俣正典会員より報告されました。

一方、日本唾液腺学会の学術集会では、ニールスステンセン記念国際唾液腺シンポジウムに参加した海外研究者の中から、専門分野の異なる4名に特別講演をお願いし、唾液の成分、唾液の分泌、唾液腺機能に影響を及ぼす様々な因子、損なわれた機能の再生・修復について、お話をしていただきました。

特別講演清野進特命教授

  • The application of mass spectrometry to the study of the intact human salivary proteome(ヒト唾液プロテオームの研究への質量分析計の応用)
    • Massimo Castagnola,Professor, MD
  • Effect of drugs on salivary glands(投薬に由来する唾液腺機能不全)
    • Andy Wolff, DMD
  • A convenient way of evoking reflex secretion in the rat and its application(ラットで反射性唾液を誘発する便利な方法とその応用)
    • Jörgen Ekström, MD
  • Investigating salivary gland morphogenesis to guide gland regeneration(腺再生を念頭に置いた唾液腺形態形成研究)
    • Matthew P Hoffman, BDS, PhD

それぞれの分野の世界的第一人者による示唆に富んだレクチャーは、臨床家にとっても研究者にとっても有意義なものとなり、ご講演後の討論も大いに盛り上がました。
 ニールスステンセン記念国際唾液腺シンポジウムからは、この他にも5名の海外研究者が本学術集会に参加し、会員との交流を深めてくださいました。限られた時間ではありましたが、学会の国際交流の確かな布石となったのではないかと思います。

公募の演題は、医歯薬学、看護学など様々な領域から、「基礎的研究」12題、「臨床的研究および病理診断学的研究」10題、「症例検討」4題の登録がありました。その中から45歳以下の筆頭演者を対象として選考される学会奨励賞は、今年度は女性研究者お二人に授与されました。

<基礎的研究>
「ヒト唾液由来の2種類のエキソソームに含まれる RNAの次世代シーケンサーによる網羅的解析」

  • 小川裕子・辻本雅文・矢ノ下良平(帝京平成大学薬学部)

<臨床的研究及び病理診断学的研究>
「腺様嚢胞癌における病因論的考察:組織病理学,分子生物学,バイオインフォマティクスを用いた統合的解析による101例の検討」

  • 冨樫由紀 1)2)3)・土橋映仁 1)・坂田征士 1)・佐藤由紀子 2)・馬場郷子 1)・竹内賢吾 1)2)3)
    1) 公益財団法人がん研究会がん研究所分子標的病理プロジェクト,2) 同病理部,3) 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科JFCR腫瘍制御学分野)

また、学会奨励賞と同じく若手研究者の支援・育成を目的とし、平成27年度から交付している「海外発表支援基金」の第2回目の対象者による報告講演も行われました。

「血管内皮前駆細胞を主体とした末梢血濃縮細胞群による放射線性萎縮唾液腺再生療法のメカニズムの解析」井 隆司 (長崎大学大学院 医歯薬総合研究科 顎口腔再生外科学分野)

井 先生は、今年6月22日~25日にサンフランシスコで開催されたISSCR 2016(国際幹細胞学会)において研究発表をされました。海外の学会に参加したことにより、国際規模での再生医療の発展、また臨床応用への取り組みを肌で感じることができ、これからの研究に対しても大きな刺激になったとのことでした。

多彩な研究発表と討論に加えて、企業から関連製品の出展もありました。唾液を利用して口腔内環境を簡易に検査する装置や口腔内環境をケアするグッズは、海外の研究者たちにとっても興味深いものであったようです。

企業から関連製品の出展

完成したばかりの学会創立60周年記念書籍『徹底レクチャー 唾液・唾液腺』(金原出版、定価5,400円)も初披露され、多くの参加者たちが手に取っていました。これまでの学会活動の集大成として、唾液・唾液腺の基礎から臨床までを網羅し、医歯薬系の保健医療従事者や学生のテキストとしても活用できる書籍が刊行されることは、大変意義深いことではないかと思います。

今回は、海外、日本全国から113名が参加し、国籍や世代、専門分野の壁を越えて、積極的に討論や情報交換を行いました。「広く唾液、唾液腺に関する諸研究の国内および国際的な知識の交流、啓発を行う」という学会の目的(会則第2条)を果たすとともに、学会活動の将来性も実感した一日となりました。

第62回学術集会は、髙田 隆 (広島大学大学院 医歯薬保健学研究院)が会長を務め、平成28年11月下旬に開催する予定です。詳細が決まりましたら、日本唾液腺学会の公式Webサイトにてお知らせいたしますので、奮ってご参加ください。