日本唾液腺学会
(事務局)
お茶の水学術事業会内
東京都文京区大塚2-1-1
TEL&FAX: 03-5976-1478
office@daekisen.org

第62回 日本唾液腺学会 総会並びに学術集会

 
会 長:髙田 隆(広島大学大学院 医歯薬保健学研究科 口腔顎顔面病理病態学)
副会長:岡本 美孝(千葉大学大学院 医学研究院耳鼻咽喉科・頭頸部腫瘍学)

平成29年11月25日(土)、文京学院大学本郷キャンパスにおいて、第62回総会並びに学術集会を開催しました。
 会長企画の特別講演とセミナー、第3回海外発表支援基金の報告講演、公募演題の発表と討論が行われ、医学、歯学、薬学、看護学、栄養学等様々な分野の研究者、臨床家、企業関係者などが集まり、知識の交流を図りました。

田原 栄俊 教授(医歯薬保健学研究科 細胞分子生物学研究室)特別講演は、広島大学の田原 栄俊 教授(医歯薬保健学研究科 細胞分子生物学研究室)をお招きし、「細胞外小胞・エクソソームとマイクロ RNA の臨床応用の可能性」と題してお話をしていただきました。エクソソームは、唾液、血液などの生体内の体液に含まれる細胞外小胞の一種であり、がん細胞を検出するバイオマーカーとしても期待されています。田原先生は、エクソソームとその中に存在するマイクロRNAに着目して、バイオロジーの研究、がんの早期発見や治療法の開発を精力的に進めておられます。ご講演では、最新のデータを示しつつ、老化した細胞におけるエクソソームの機能、体液中の小分子RNAを用いたがんやアルツハイマーのバイオマーカーの開発、マイクロRNAを用いた難治性がんの治療戦略等についてお話をしてくださいました。

長尾 俊孝 理事(東京医科大学 人体病理学分野 主任教授)セミナーでは、長尾 俊孝 理事(東京医科大学 人体病理学分野 主任教授)が、2017年1月に改訂された「唾液腺腫瘍新WHO国際分類」の解説を行いました。WHOが「頭頸部腫瘍 WHO 国際分類」(唾液腺腫瘍を含む)の第4版を刊行した際、髙田会長、長尾理事が編集メンバーに選任されたことから、本セミナーが企画、実施されました。
 長尾先生は、編集会議のエピソードなども紹介しながら、唾液腺腫瘍WHO分類の変遷、新分類のポイントについて、病変の画像を示しつつ解説してくださり、たいへん分かりやすかったと好評でした。
 これに先立ち、日本唾液腺学会は「唾液腺腫瘍2017 WHO分類:日本語訳」を決定し、HPに公開しました。
 http://www.daekisen.org/info/images/who2017.pdf

公募の演題は、「基礎的研究」8題、「臨床的研究および病理診断学的研究」13題、「症例検討」8題がエントリーされました。
 筆頭演者が45歳以下の「基礎的研究」、「臨床的研究及び病理診断学的研究 」を対象とする学会奨励賞は以下の2題に授与されました。

<基礎的研究>

「自己組織化技術を用いたマウスES細胞由来3次元唾液腺組織の誘導」
〇田中準一 1)・中村史朗 2)・安原理佳 1)・井上富雄 2)・美島健二 1)
1) 昭和大学歯学部口腔病態診断科学講座口腔病理学部門, 2) 同口腔生理学講座)

<臨床的研究及び病理診断学的研究>

「Basal cell adenoma,basal cell adenocarcinoma における TLE1 発現の病理組織学的検討」
〇小山雄三 1)・西田陽登 1)・草場敬浩 1)・門脇裕子 1)・荒金茂樹 1)・卜部省吾 2)・横山繁生 1)・ 駄阿 勉 1)
1) 大分大学医学部診断病理学講座,2) 大分県立病院臨床検査科)

また、次世代を担う唾液腺研究者の育成を目的とする「海外発表支援基金」の交付対象者による報告講演も行われました。
「マウス唾液腺由来筋上皮細胞は唾液腺組織幹細胞/前駆細胞としての性質を有する」
安原理佳・田中準一・美島健二 (昭和大学歯学部 口腔病態診断科学講座 口腔病理学部門)

安原先生は、今年6月14日~17日にボストンで開催された、ISSCR 2017国際幹細胞学会において研究発表をされました。
 海外発表支援基金は、村上政隆 常務理事がIADR(国際歯科学会)「Distinguished Scientist 2013 for Salivary Research」の受賞賞金を学会に寄付してくださったことにより、平成27年度にスタートしました。この日、報告講演の座長を務めた村上先生は、「このような素晴らしい発表を世界が待っています!」と、基金継続への協力を呼びかけられました。

今回の参加者数は、近年最多となる119名で、約4分の1は非会員でした。また、本学会は数年前より学生に対する優遇措置を設けており、学生の演題発表や参加もコンスタントにあります。年に一度の学術集会は、「唾液」「唾液腺」をキーワードとする学際的な情報交換、交流の場であるとともに、若手研究者の育成にも貢献していると言えそうです。

第63回学術集会は、岡本 美孝(千葉大学大学院 医学研究院耳鼻咽喉科・頭頸部腫瘍学 教授)が会長を務め、平成30年12月8日(土)に開催する予定です。
皆様のご参加をお待ち申し上げております。