日本唾液腺学会
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第60回日本唾液腺学会 総会並びに学術集会
 

会 長:田隈 泰信(北海道医療大学 歯学部)
副会長:村上 政隆 (自然科学研究機構 生理学研究所)

平成27年12月5日(土曜日)、文京学院大学本郷キャンパスにおいて、第60回総会並びに学術集会を開催しました。
 田隈会長の企画による特別講演と話題提供講演、公募の演題22題の発表に加え、第一回海外発表支援基金の報告講演も行われ、様々な角度から、唾液、唾液腺について考える機会となりました。さらに創立60周年記念書籍の刊行予定も発表され、60回という節目にふさわしい充実した学術集会となりました。
特別講演清野進特命教授   特別講演は、神戸大学大学院医学研究科 分子代謝医学分野の清野 進 特命教授をお迎えして、「インスリン分泌の分子機構:グルコース代謝とcAMP シグナルの果たす重要な役割」と題してお話をしていただきました。インクレチンによるインスリン分泌増強機構研究で世界をリードする清野先生に、そのメカニズムや研究成果、現在取り組んでおられる研究等について解説していただき、「たいへん勉強になった」と好評でした。ランゲルハンス島と同じく分泌細胞によって形成され、cAMP が深く関与している唾液腺の研究にも有意義な示唆を得る機会となりました。

一方の話題提供講演では、日本大学医学部内科学系血液膠原病内科学分野の武井正美 主任教授が、「全身疾患としての Sjögren 症候群」と題して、日本大学医学部内科学系血液膠原病内科学分野の武井正美 主任教授基礎研究が臨床にどのように応用されているかという観点からのお話をしてくださいました。「日本シェーグレン症候群患者会」の事務局長、NPO法人「シェーグレンの会」の顧問も務める武井先生は、平成27年1月に指定難病に加えられたSjögren 症候群(SS)の診断において重要な要素となる下口唇生検から見える病因病態への考察と、現在使われている重症度評価のガイドラインとその問題点について詳細に解説してくださり、患者さんへの支援を呼び掛けられました。

公募演題では、「基礎的研究」9題、「臨床的研究および病理診断学的研究」13題、「症例検討」4題の発表があり、活発な討論が行われました。その中から、以下の2題に学会奨励賞が授与されました。
<基礎的研究>
「アセチルコリン刺激による顎下腺全体で同期したCa2+オシレーションとその発生機構」

○根津顕弘 1)・森田貴雄 1)・永井健治 2)・谷村明彦 1)
1) 北海道医療大学歯学部薬理学分野,2) 大阪大学産業科学研究所生体分子機能科学研究分野)

<臨床的研究および病理診断学的研究>
「唾液腺導管癌における標的遺伝子変異と免疫組織化学的発現の検討:その臨床病理学的因子との関連」

○志村智隆 1)・多田雄一郎 2)・川北大介 3)・塚原清彰 4)・加納里志 5)・清水顕 4)・今西順久 6) ・小澤宏之 6)・大上研二 7)・佐藤雄一郎 8)・長尾俊孝 1)
1) 東京医科大学人体病理学分野,2) 国際医療福祉大学三田病院頭頸部腫瘍センター,3) 名古屋市立大学大学院耳鼻咽喉・頭頸部外科,4) 東京医科大学耳鼻咽喉科学分野,5) 北海道大学病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科,6) 慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科,7) 東海大学医学部付属病院耳鼻咽喉科,8) 新潟県立がんセンター新潟病院頭頸部外科)

また本学会は、村上常務理事からの寄付を基金として、平成27年度より「海外発表支援基金」を設置し、若手研究者の海外での研究発表を奨励しています。
村上常務理事  今回の学術集会では、その第1回目の交付対象に選出された小野 瞳先生(大阪大学歯学部付属病院顎口腔機能治療部)の報告講演も行われました。小野先生は、平成27年10月15日 ~17日に Antalya(トルコ)で開催された「47th Meeting of Continental European Division of the International Association for Dental Research」において、「多能性幹細胞(iPS細胞)を利用した唾液腺再生モデルについて」(Models of salivary gland differentiation using induced pluripotent stem(iPS)cells)の発表をされました。その成果を学会や論文などで報告するとともに、今後さらに研究を進め、唾液腺研究に寄与していきたい、と抱負を語ってくださいました。

今回は、医学系、歯学系、薬学系の様々な分野から112名の参加がありました。 年に一度の学術集会は、専門を異にする研究者達が、唾液、唾液腺という共通のテーマのもとに一堂に会し、意見や情報交換を行う貴重な機会となっています。企業による唾液分泌量に相関する血液量の変化を計測する機器展示もそのひとつとなります。 また近年は、若手研究者や学生の参加も増えつつあり、学術集会が、次世代の唾液、唾液腺研究者を育成する機会となっていることも感じられます。

第61回学術集会は、平成28年12月3日(土)に、同じ会場での開催を予定しており、村上 政隆 (自然科学研究機構 生理学研究所 准教授)が会長として、新たな企画、運営にあたります。皆様のご参加をお待ち申し上げております。